膝が痛むと、なにもする気がなくなりますよね。膝の痛みをなくすには、いったいどうしたらいいのでしょうか?膝の痛みをなくすには、大きく分けて次の3つの方法があるんですね。
自分で治療する方法
まずは、自分で治療する方法です。
自分で治療する方法の手順は、
- 安静にする
- 冷やす
- 温める
です。
安静にする
膝に痛みを感じたら、まず「安静」を保って下さい。
「安静」といっても、まったく歩いたりしてはいけないということではありませ ん。
「通常の生活」や「日常の動作」はしてもかまいません。
つまり普通に歩いたり、階段の上り下りをしてもかまいません。
ただ、普段は持たないような重い ものを持ったり、長時間の連続した歩行は避けた方がいいでしょう。
また、普段から散歩やスポーツしている人は、1~2日は休んで様子を見て下さい。
これ で、痛みが取れたら、また散歩やスポーツ等を再開してもかまいません。
冷やす
痛みのほかに、熱感や腫れを感じることもあります。
反対の膝や家族の膝と比べて下さい。
膨らんでいたり赤くはれていたりしたら、熱 を持っていると考えられます。
このような場合には、「冷やして」下さい。水に濡らしたタオル、アイスノン、氷枕等を使って、30分程度冷やして下さい。
1 日に2~3回位を1~2日程度継続して、症状がなくなれば問題ないと思われます。
症状がなくなれば、散歩や通常行っている運動を再開して良いでしょう。
温める
「安静」を保ち、「冷やして」症状が改善したら、次には「温める」ようにして下さい。
「温める」といっても、特別な器具や設備等は 必要ありません。
要するに、「お風呂にゆっくり入って」下さい。
そして、お風呂の中で「ゆっくり曲げたり伸ばしたり」して下さい。
これにより、膝の周囲や 下肢の血行が良くなり、老廃物質を効果的に取り除きます。
また、筋肉や軟部組織がほぐれ関節の動きがスムーズになります。
このような処置をしても症状がかららない場合やかえって悪化する場合には、膝専門医を受診して下さい。
病院やクリニックに通院して治療する方法
膝の中に明らかな損傷がみられない場合には、上記の「自分で治療する方法」で十分に良くなります。
しかし、いくら自分で治療しても症状が良くならない場合は、膝専門医に診てもらうことを勧めます。
通常、膝専門医の外来を受診した場合には、問診、診察、レントゲン、MRI等の検査を行います。
これにより原因をつきとめ、治療方針を決定します。
MRIは体の断層画像を撮影する装置です。
これは画像を得る手段です。例えばCTでは“ X線”を使って画像を得るのに対し、MRIは大きな磁石による“ 強い磁場”とFMラジオに使われているような“電波”を使って画像を得ます。
そのため、MRIは放射線による被ばくがなく、小児や健常な方も安心して検査を受けることができます。
比較的症状が軽く損傷が軽傷の場合には、通院治療つまり「保存的治療」を行います。
筋力強化指導、装具を使った治療、注射、処置、鎮痛薬の処方等を行います。
1度の診察治療で良くなる場合もありますが、通常は、数回の通院治療(数週間から数カ月)を行います。
これにより症状の改善を目指します。
手術して治療する方法
外来通院して治療を受けても症状が軽快しない場合には、手術(外科的治療)を行います。
特に
- 痛みがとても強い場合
- 症状が長い間続いている場合
- 手術をしないと治らないくらい重症な場合
には手術を行う必要があります。
その他には、
- 接骨院や鍼灸治療院に通院しても症状が改善しない場合
- リハビリをしたが効果がなかった場合
- 何回も注射をしたり、水を抜いたが効果がなかった場合
- いくつもの病院や接骨院に通院したが改善しない場合
- 手術をした方が良い結果が見込める場合
にも手術を検討した方が良いでしょう。
保存的治療を長い間行っても治らないというのは、膝の中にある痛みの原因を根本的に改善されていない状況であり、膝の外から漫然と治療を継続しても治らないと考えられます。
恐らく保存的治療の限界と言えます。
このような場合、手術(外科的な治療)が有効な場合が多いです。
手術といっても、昔のように大きく切り開くことはあまりありません。
現在では侵襲をなるべく小さい方法で治療を行います。
関節鏡という内視鏡を使うと、関節を切開しないで治療することが可能です。
傷口も1cm程度で入院日数も大変短くて済みます。
膝を切開する手術(例:人工膝関節置換術等)は、さまざまなものがあります。
現在では低侵襲手術 ( Minimally Invasive Surgery : MIS ) という手技により、患者さんへ身体的負担を軽減し、術後の痛み抑え、リハビリをスムーズに行うことができます。
結果、早く退院することができ、早期の社会復帰が可能です。
もちろん、手術をするかどうかの判断はとても難しく、経験の豊富な膝専門医の判断が必要です。
さらに、これらの技術を駆使して手術を行える専門医はけっして多くはありません。
また、患者さん自身の個々の条件、内容、症状等によって手術治療の内容も変わってきます。
したがって、実際に患者さんの話をしっかり聞いて診察をしてから、治療方針を決定します。
膝専門医と十分に話し合いをしたうえで治療方針を決定した方が良いでしょう。